時効と時効前の対処法

投稿日:2024年11月24日

1 時効について

 民法は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しない場合、または権利を行使することができる時から10年間行使しない場合、債権は時効により消滅すると定めています。(「権利を行使することができる時」と「権利を行使することができることを知った時」とは同じ場合がほとんどです)

2 時効が迫っている時にするべきこと

 では、債権者が、消滅時効期間がまもなく満了する債権をもっている時に何をしたら良いでしょうか。

 民法は、時効の完成が一定期間猶予される「時効の完成猶予事由」、時効がリセットされて新たに時効期間が始まる「時効の更新事由」を定めています。

 例えば、訴訟提起をすると、訴訟係属中は時効の完成が猶予され、判決が確定すると時効期間が更新されて、新たに時効期間が始まります。

 しかし、こういった裁判所が関与する方法の場合、時間や費用がかかります。そこでよく用いられるのが、債務者から債務の「承認」を得る方法です。

 債務について新たな弁済期を定める合意をするとか、債務の一部を支払うことがこれにあたります。債務者が債務の支払の猶予を求めることもこれにあたります。

 債務者が「承認」をすると、時効期間がリセットされ、新たに時効期間が始まります。時効完成猶予または更新事由が発生した事実、そしてどの債権について時効が更新されたのかなどを明確にするため、合意書や支払猶予願い等の書面を作成しておくとよいでしょう。

 さらに、もう一つ、時効の期間を延ばす方法として、「催告」があります。催告というのは、債権の支払を請求することですが、催告の事実及び日付を証明するために内容証明郵便で行います。催告をすると、時効の完成が6か月間、猶予されます。

 しかし、催告をしても時効期間が更新されることはありません(6か月間、時効期間が延長されるだけです)。また、何度も催告を繰り返すことはできず、一度、内容証明を送った後、再び内容証明郵便を送っても、再度の延長はできません。ですから、 請求書を送り続ければ時効にならないというのは誤解です。

 日頃の業務に負われていると、うっかり消滅時効が完成してしまうことがあります。未回収の売掛金などがある場合には、早めに専門家に相談されることをお勧めします。なお、ガス料金の場合には、料金保証サービスGAS-HOにより、回収は容易になります。

 以上